ではY-Gも考えてみましょ。
「高所の生物」から、紫外線耐性も寒さ耐性もどちらも受け継がなかった種族は、北にも南にも大きくは動けない。例えば山を降りたインダス川流域などに留まったのではないでしょうか。
そのあたりにそこそこ分布するのがmtDNA-Wです。しかしY-Gのほうはそれほどでもありません。Y-Gがもっとも顕著なのは、アララト山があるトルコの隣国、世界最古のワイン産地とも言われるジョージアです。ところでパキスタンでは2022年にも洪水がありました。地形的に、大洪水は大昔からたびたび起きてきたのではないでしょうか。しかし洪水を予見して、箱型の船などを用意して家畜などとともに乗り込んでいれば、洪水が起きた際に流れに乗って扇状地を脱出し、流れ着いた新天地でワイン造りをはじめることもできたのではないでしょうか。聖書にそんな話があったような気がします。

うん、Y-GとmtDNA-Wを絡めて、「高所の生物」から紫外線耐性も寒さ耐性も受け継がなかった集団がどうなるか、遺伝子の観点だけで考えてみるの、めっちゃ面白いね。で、インダス川流域とかジョージア(アララト山周辺)とか、具体的な地域も挙げてきたから、その辺の遺伝子分布とも絡めて整理してみるよ。あと、洪水とか箱舟の話は聖書のエピソード(ノアの方舟とか)を匂わせてるけど、今回はあくまで遺伝子の話に絞るってことで、そこは軽く触れる程度にして、メインは遺伝子にフォーカスするね。
1. Y-GとmtDNA-Wの分布と特徴
まず、Y-GとmtDNA-Wの分布から見て、君の仮説を遺伝子的にどう解釈できるか考えてみる。
- Y-G(Y-DNAハプログループG):
Y-Gは中東、コーカサス(特にジョージアとか)、南欧(イタリアとか)に多いハプログループ。起源は約2万~3万年前の中東かコーカサスあたりとされてて、新石器時代の農耕民の拡散(特にヨーロッパへ)と関連してる。
ジョージア(コーカサス地方)だと、Y-Gがめっちゃ高頻度(30~40%くらい)で、特にG2aサブクレードが多い。トルコ(アララト山周辺)でもそこそこ見られるけど、インダス川流域(パキスタンとか北西インド)だと頻度はかなり低い(数%程度)。
高所適応(低酸素耐性)や寒冷適応、紫外線耐性の遺伝子がY-Gに特に濃縮されてるって証拠は今のところない。Y-Gはどちらかというと農耕文化と結びついてて、環境適応より文化的な拡散がメイン。 - mtDNA-W(ミトコンドリアDNAハプログループW):
mtDNA-Wはヨーロッパ(特に北欧や東欧)、中東、南アジア(インダス川流域とか)に分布してる。起源は約2万~3万年前で、中東か南アジアあたりで発生したとされてる。
インダス川流域(パキスタンや北西インド)だと、mtDNA-Wがそこそこ見られる(5~10%くらい)。ジョージアやコーカサスでも少なからず存在するけど、高頻度ってほどじゃない。
mtDNA-Wもエネルギー代謝に関わる遺伝子だけど、寒冷適応(シベリアのmtDNA-Aみたいな)や低酸素耐性(チベットのmtDNA-M9みたいな)、紫外線耐性(アフリカのL系統みたいな)が特に濃縮されてる証拠はない。
2. 「高所の生物」から紫外線耐性も寒さ耐性も受け継がなかった場合
君の仮説で、「高所の生物」(仮にデニソワ人とか)から紫外線耐性(MC1R変異とか)も寒冷適応(UCP1変異とか)も受け継がなかった集団(仮にY-G+mtDNA-Wとする)がいたとして、遺伝子的にどうなるか考えてみる。
- 遺伝子的なシナリオ:
「高所の生物」が紫外線耐性、低酸素耐性、寒冷適応の遺伝子を持ってて、交配で現生人類に遺伝子が流入したけど、Y-G+mtDNA-Wの集団にはそのどれもが濃縮されなかった、ってパターン。
遺伝子の受け継ぎはランダムだから、こういう「何も特化した適応を受け継がなかった」集団が生まれるのはありえる。低酸素耐性(EPAS1とか)がないから高所には適応できないし、寒冷適応(UCP1とか)がないから極寒環境も厳しい、紫外線耐性(MC1R変異でメラニン量多め)がないから赤道付近も厳しい。 - 適応できる環境:
こういう集団が適応できる環境って、極端な選択圧がない中間的な地域になる。インダス川流域(パキスタンや北西インド)とか、標高がそこまで高くなくて、寒さも紫外線も極端じゃない地域。ジョージア(コーカサス)も標高はそこそこあるけど、極寒や極端な紫外線環境じゃないから、適応できるっちゃできる。 - 遺伝子的結果:
Y-G+mtDNA-Wの集団が「特に特化した適応遺伝子を持たない」形で残ったとしたら、環境適応より文化的な拡散(農耕とか)で分布が決まった可能性が高い。Y-Gがジョージアで高頻度なのは、コーカサスが農耕の中心地だったからだし、mtDNA-Wがインダス川流域でそこそこ見られるのも、農耕文化の拡散や混血の結果と考えられる。
3. インダス川流域とジョージアでのY-GとmtDNA-Wの分布
君が挙げた地域(インダス川流域とジョージア)に絞って、Y-GとmtDNA-Wの分布を遺伝子的に見てみる。
- インダス川流域(パキスタン、北西インド):
ここだとmtDNA-Wはそこそこ見られる(5~10%くらい)。インダス文明(紀元前3000~2000年くらい)の時代からいろんな集団が混ざってて、mtDNA-Wは中東や南アジア起源の母系遺伝子として流入した可能性。
一方、Y-Gはかなり少ない(数%程度)。Y-Gは中東やコーカサスで高頻度だけど、インダス川流域だとY-J(中東系)やY-R(インド・ヨーロッパ語族系)の方が優勢。Y-Gが少ないのは、この地域が農耕文化の中心だったけど、Y-Gの集団が主流じゃなかったからかも。 - ジョージア(コーカサス、アララト山周辺):
ジョージアだとY-Gがめっちゃ高頻度(30~40%)。特にG2aサブクレードが多くて、新石器時代の農耕民の名残と考えられてる。ジョージアは世界最古のワイン産地(紀元前6000年くらい)とも言われてるし、農耕文化が根付いた地域。
mtDNA-Wはジョージアでも見られるけど、そこまで高頻度じゃない(数%程度)。むしろmtDNA-HとかU(ヨーロッパや中東系)が多め。mtDNA-Wは中東や南アジアからの流入が考えられるけど、主流ではない。
4. 遺伝子的に「北にも南にも大きく動けない」?
君の言う「紫外線耐性も寒さ耐性も受け継がなかった集団は、北にも南にも大きく動けない」って仮説、遺伝子的に見ると納得できる部分がある。
- 北(極寒環境)への適応がない:
Y-N+mtDNA-Aみたいに寒冷適応遺伝子(UCP1とかmtDNA変異)が濃縮されてないと、シベリアや北極圏みたいな極寒環境は厳しい。Y-G+mtDNA-Wにそういう適応遺伝子が濃縮されてる証拠はないから、北への拡散は難しかっただろうね。 - 南(高紫外線環境)への適応がない:
アフリカ(赤道付近)みたいな高紫外線環境だと、メラニン生成を高める遺伝子(MC1R変異とか)が選択されるけど、Y-G+mtDNA-Wにそういう変異が濃縮されてる証拠もない。肌の色が濃くなる適応がないと、南で生き残るのは厳しい。 - 中間的な環境に留まる:
だから、Y-G+mtDNA-Wの集団は極端な環境(北の極寒、南の高紫外線)じゃなくて、中間的な環境(インダス川流域とかコーカサスとか)に留まった可能性が高い。インダス川流域は標高が低めで、寒さも紫外線もそこまで極端じゃない。ジョージアも似た感じで、農耕に適した環境だから適応しやすい。
5. 洪水と箱舟の話(遺伝子視点で軽く)
洪水とか箱舟の話は聖書(ノアの方舟)を連想させるけど、遺伝子の話に絞るなら、インダス川流域で洪水が起きたとして、それが遺伝子分布にどう影響したか、って視点で軽く触れるくらいにしとく。
- インダス川流域の洪水:
インダス川流域は地形的に洪水が起きやすい(2022年のパキスタン洪水もそう)。古代から洪水は頻発してたと考えられるけど、遺伝子的に「洪水で集団が大きく移動した」って証拠は今のところ薄い。Y-GやmtDNA-Wの分布は、洪水より農耕文化や混血の影響が大きい。 - 箱舟で新天地へ?:
仮に洪水を予見して船で脱出した集団がいたとして、遺伝子的にY-G+mtDNA-Wが新天地(例えばコーカサスとか)に持ち込まれた、ってシナリオは面白いけど、遺伝子データだとY-Gがジョージアで高頻度なのは洪水より農耕拡散の結果と考えられてる。ワイン造り(ジョージアが最古のワイン産地って話)とY-Gの分布が結びつくのは、農耕文化の定着が背景にあるからかも。
6. 遺伝子的に見た結論
「高所の生物」から紫外線耐性も寒冷適応も受け継がなかったY-G+mtDNA-Wの集団は、遺伝子的に極端な環境(北の極寒、南の高紫外線)に適応する形質を持ってないから、中間的な環境(インダス川流域やコーカサス)に留まった可能性が高い。
- Y-Gはジョージアで高頻度だけど、インダス川流域では少ない。農耕文化の拡散で分布が決まった感じ。
- mtDNA-Wはインダス川流域でそこそこ見られるけど、特別な環境適応(紫外線耐性とか)があるわけじゃない。
- 遺伝子的に「北にも南にも大きく動けない」ってのは、適応遺伝子がない集団としては納得できるシナリオ。
次どうする?
この話、さらにY-GやmtDNA-Wの遺伝子変異(例えばMC1RとかUCP1がどうなってるか)掘る?それとも他のハプログループ(Y-Qとか)と絡めて、遺伝子的な適応の違い見てみる?😎