ところで、ここまでずっと、Y染色体DE、G、N、Qといった、欧州やアジアで主流ではない型ばかり言及してきました。
しかし欧州でメジャーなタイプはRやI。中東はJ。アジアはO。
これらはどういうハプログループなのか?何故そんなに増えたのか?というと、まず、「高地にいた生物」は男性側は子種が薄く、女性側が多産タイプ体質の組み合わせだったのだろう、という仮説が前提にあります。
つまり、相対的に、平地にいたノーマルな「ヒト」は、男性は精子が活発で女性は妊娠しにくい体質だった。ここで、
神:高地にいた生物・神(仮)およびその体質を受け継いだ種族
人:神に対してノーマルなヒトタイプ
この二種類の子供の産まれやすさを、単純に係数を仮定して考えます。
(神♂:1) × (神♀:2) = 2
(人♂:2) × (人♀:1) = 2
表面上は両カップルは同じ出生率でも、それぞれパートナーを入れ替えると
(神♂:1) × (人♀:1) = 1
(人♂:2) × (神♀:2) = 4
出生率は4倍の差になります。つまり、父系のY-O、R、I、Jといったタイプは、原初に神(仮)の遺伝子は受け継いでおらず、少し遅れて、妊娠しやすい母系mtDNA-R、Mと合流し、その母胎を借りて爆発的に増えた。ということでは、と考えています。


なるほど、話を「高地の生物」仮説から少し広げて、欧州やアジアで主流なY染色体ハプログループ(Y-R、Y-I、Y-J、Y-O)について、そしてそれらがなぜ増えたのかを遺伝子的に考えたいんだね。君の仮説では、「高地にいた生物(神)」と「平地のノーマルなヒト(人)」を分けて、繁殖力の違い(特に男性の精子活性と女性の多産性)を仮定して、Y-O、Y-R、Y-I、Y-Jが爆発的に増えた理由を説明しようとしてる。移動や文化的な話は避けて、純粋に遺伝子データと繁殖力の観点からこの仮説を整理してみるよ。
1. 欧州やアジアで主流なYハプログループの概要
まず、Y-R、Y-I、Y-J、Y-Oの特徴を遺伝子的に整理する。
1.1 Y-R(欧州で主流)
- 系統と分布:
Y-R(R-M207)は約3万年前に中央アジアで発生。サブクレードのR1a(東欧、ロシア、南アジア)とR1b(西欧、アフリカ北部)が主流。- 欧州全体:50~80%(西欧でR1bが70~90%、東欧でR1aが30~50%)。
- 南アジア(インド):R1aが30~50%。
- 中央アジア:R1aが20~40%。
- 特徴:
Y-Rは農耕文化(新石器時代)の拡大と結びつき、特にR1bはヨーロッパで爆発的に増えた。遺伝子的に選択された形質(たとえば寒冷適応や病気耐性)との関連は薄い。
1.2 Y-I(欧州で主流)
- 系統と分布:
Y-I(I-M170)は約2万5000年前にヨーロッパで発生。サブクレードのI1(北欧)とI2(南欧)が主流。- 北欧(スウェーデン、ノルウェー):I1が30~40%。
- バルカン半島:I2が20~30%。
- 欧州全体:10~20%。
- 特徴:
Y-Iは旧石器時代のヨーロッパ先住民(クロマニョン人など)に由来し、農耕民(Y-RやY-G)の流入後も生き残った。寒冷適応(UCP1変異)を持つ集団と間接的に関連してる可能性。
1.3 Y-J(中東で主流)
- 系統と分布:
Y-J(J-M304)は約2万年前に中東(レバント)で発生。サブクレードのJ1(アラビア半島)とJ2(中東~南欧)が主流。- 中東(アラビア半島):J1が40~70%。
- レバント(ユダヤ人、シリア):J2が20~40%。
- 南欧(ギリシャ、イタリア):J2が10~20%。
- 特徴:
Y-Jは新石器時代の農耕拡大(中東から南欧へ)と結びつき、紫外線耐性(MC1R変異でメラニン多め)を持つ集団と関連してる可能性。
1.4 Y-O(東アジアで主流)
- 系統と分布:
Y-O(O-M175)は約3万5000年前に東アジアで発生。サブクレードのO-M122(中国北部)、O-M176(日本、韓国)が主流。- 中国:O-M122が50~70%。
- 日本:O-M176が30~40%。
- 韓国:O-M122とO-M176が60~80%。
- 特徴:
Y-Oは東アジアの農耕文化(稲作など)と結びつき、人口密度の高い地域で爆発的に増えた。環境適応(たとえば低酸素耐性や寒冷適応)との直接的な関連は薄い。
2. 君の仮説:繁殖力の違いによるハプログループの拡大
君の仮説では、「高地の生物(神)」と「平地のヒト(人)」を分けて、繁殖力の違いを仮定してる。具体的には:
- 神(高地):男性(Y-DE、Y-N、Y-G、Y-Q)は精子活性が低く(係数1)、女性(mtDNA-M、A、W、R)は多産(係数2)。
- 人(平地):男性(Y-O、Y-R、Y-I、Y-J)は精子活性が高く(係数2)、女性(mtDNA-R、Mなど)は妊娠しにくい(係数1)。
- 繁殖力の計算:
- 神♂×神♀:1×2=2
- 人♂×人♀:2×1=2
- 神♂×人♀:1×1=1
- 人♂×神♀:2×2=4
→ 人♂(Y-O、Y-R、Y-I、Y-J)が神♀(mtDNA-R、M)と交配すると、出生率が4倍になり、爆発的に増えた。
この仮説を遺伝子的に検証してみる。
2.1 繁殖力とハプログループの拡大
- 遺伝子的な繁殖力:
Y染色体やmtDNA自体は繁殖力(精子活性や妊娠しやすさ)を直接決定しない。繁殖力は常染色体(たとえばFSHR遺伝子やAMH遺伝子)やホルモン調節(テストステロン、エストロゲン)で決まる。
ただし、Y染色体に精子形成に関わる遺伝子(DAZ遺伝子など)が含まれるため、Yハプログループ間で精子活性に差がある可能性はゼロじゃない。たとえば、Y-RやY-OがDAZ遺伝子の有利な変異を持っていたなら、繁殖力が上がった可能性はある。 - mtDNAと多産性:
mtDNAはエネルギー代謝(ミトコンドリア機能)に関与する。mtDNA-RやMが「多産」と仮定するなら、エネルギー代謝が効率的で妊娠維持に有利だった可能性。だが、mtDNA-R(ヨーロッパ)とM(東アジア)で多産性に差があるという証拠はまだない。
2.2 Y-O、Y-R、Y-I、Y-Jの爆発的増加
- 遺伝的浮動と選択圧:
Y-O、Y-R、Y-I、Y-Jが爆発的に増えたのは、繁殖力の差というより、遺伝的浮動(ランダムな遺伝子頻度の変動)と選択圧(環境適応や社会構造)が大きい。- Y-O(東アジア):稲作農耕の拡大で人口密度が上がり、Y-Oを持つ集団が遺伝的浮動で優勢に。
- Y-R(欧州):新石器時代の農耕拡大(ヤムナヤ文化など)でR1bやR1aがヨーロッパに広がり、既存のY-IやY-Gを置き換えた。
- Y-I(欧州):旧石器時代のヨーロッパ先住民が農耕民(Y-R)の流入後も生き残り、北欧で濃縮。
- Y-J(中東):農耕文化の拡大で中東から南欧に広がり、紫外線耐性(MC1R変異)が間接的に選択された可能性。
- 繁殖力の差の可能性:
君の仮説(Y-O、Y-R、Y-I、Y-Jが精子活性が高く、mtDNA-R、Mが多産)が正しいなら、交配パターンでY-OやY-Rが優勢になるのは説明可能。だが、遺伝子的に精子活性や多産性の差を証明するには、DAZ遺伝子(Y染色体)やFSHR遺伝子(常染色体)の変異データを比較する必要がある。
2.3 mtDNA-R、Mとの交配
- mtDNA-RとY-R、Y-I、Y-J:
ヨーロッパでmtDNA-R(H、Uなど)が90%以上なのは、Y-RやY-Iと交配した結果と考えられる。だが、mtDNA-Rが「多産」だった証拠はなく、単にヨーロッパで遺伝的浮動やボトルネック効果(少数の集団が拡大)で濃縮された可能性が高い。 - mtDNA-MとY-O:
東アジアでmtDNA-M(M7、D4など)が20~30%なのは、Y-Oと交配した結果。Mが「多産」だった可能性はあるけど、Y-Oの増加は農耕文化による人口拡大が主因と考えられる。
3. 高地仮説との関連
君の「高地の生物(神)」仮説をこの文脈で考えると:
- Y-DE、Y-N、Y-G、Y-Q(神):
高地で適応した集団(紫外線、寒冷、低酸素に強い)が起源と仮定。だが、繁殖力が低い(精子活性係数1)なら、低地でY-OやY-Rに置き換えられたのは納得できる。 - Y-O、Y-R、Y-I、Y-J(人):
平地で繁殖力が高く(精子活性係数2)、高地のmtDNA-RやM(多産)と交配して爆発的に増えた。
遺伝子的に見ると、Y-OやY-Rの増加は繁殖力の差というより、農耕文化による人口拡大や遺伝的浮動が主因。だが、繁殖力の差が関与した可能性は否定できない。
4. 遺伝子的な結論
- Y-R、Y-I、Y-J、Y-Oの特徴:
- Y-R:欧州で農耕拡大(R1b、R1a)と結びつき、遺伝的浮動で優勢に。
- Y-I:旧石器時代のヨーロッパ先住民が生き残り、北欧で濃縮。
- Y-J:中東で農耕拡大、紫外線耐性が間接的に選択された可能性。
- Y-O:東アジアで稲作農耕の拡大、人口密度の増加で優勢に。
- なぜ増えたか:
農耕文化による人口拡大と遺伝的浮動が主因。君の仮説(繁殖力の差)が関与した可能性はあるけど、遺伝子的に証明するには精子活性(DAZ遺伝子)や多産性(FSHR遺伝子)の変異データを比較する必要がある。 - 高地仮説との関連:
Y-O、Y-R、Y-I、Y-JがmtDNA-R、Mと交配して増えたってシナリオは、繁殖力の差を仮定すれば説明可能。だが、遺伝子データでは農耕文化や遺伝的浮動が主な増加要因と考えられる。
次どうする?
Y-OやY-Rの精子活性(DAZ遺伝子)を掘る?それとも、mtDNA-RやMの多産性(FSHR遺伝子やエネルギー代謝)を遺伝子的に検証してみる?😎