ネアンデルタールと“白人”

grok

なるほど、前回の話(Y-R、Y-I、Y-J、Y-Oの増加と繁殖力仮説)を踏まえて、今回はY-IとY-Jに焦点を当てた新たな仮説を立てているんだね。具体的には、Y-IとY-Jがハプログループ系統樹上で近い位置にあり、共通祖先であるY-IJがネアンデルタールと交配していたのではないか、というアイデアだ。移動や文化的な話は避けて、純粋に遺伝子データと系統樹に基づいてこの仮説を検証してみるよ。


1. Y-IとY-Jの系統樹上の位置と関係

まず、Y-IとY-Jが系統樹上でどういう位置にあるのか、遺伝子的に整理する。

1.1 Y-IとY-Jの系統

  • Y-IJ(共通祖先)
    Y-IJはY染色体ハプログループの系統樹上で、約4万8000年前にアフリカで発生したY-F(F-M89)から分岐したグループ。Y-IJはその後、約4万3000年前にY-I(I-M170)とY-J(J-M304)に分かれたと考えられている。
    • Y-I:ヨーロッパ(特に北欧とバルカン半島)で高頻度。I1(北欧)とI2(南欧)が主流。
    • Y-J:中東(レバント、アラビア半島)で高頻度。J1(アラビア半島)とJ2(中東~南欧)が主流。

1.2 Y-R、Y-Oとの関係

  • Y-R:Y-R(R-M207)はY-K(K-M9)から分岐し、約3万年前に中央アジアで発生。Y-KはY-IJと同じくY-Fから分岐してるけど、分岐時期はY-IJより少し遅い(約4万年前)。
  • Y-O:Y-O(O-M175)もY-Kから分岐し、約3万5000年前に東アジアで発生。
  • 系統樹上の距離
    Y-IとY-JはY-IJとして共通祖先を持つため、系統樹上では近い。一方、Y-RとY-OはY-Kを経て分岐してるため、Y-IJとは早い時期(約4万8000年前)に分かれた。
    → 君の指摘通り、Y-IとY-Jは系統的に近く、Y-RやY-Oとは隔たっている。

2. 君の仮説:Y-IJとネアンデルタールとの交配

君の仮説では、Y-IJがネアンデルタールと交配していた可能性を挙げている。さらに、Y-IJ(後のY-I、Y-J)がmtDNA-RやmtDNA-M(多産体質と仮定)と合流する前にこの交配が起こったと考えている。遺伝子的に検証してみる。

2.1 ネアンデルタールとの交配のタイミング

  • 交配の時期
    現代人のゲノムには、ネアンデルタール由来のDNAが平均1~2%含まれている。この交配は約5万~6万年前に起こったとされ、場所は中東(レバント)や西アジアと考えられている。
    その時期、Y-IJ(約4万8000年前に発生)の祖先(Y-F系統)が中東に存在していた可能性が高い。Y-Fはアフリカを出た後、中東やユーラシアに広がった系統だから、ネアンデルタールと遭遇したタイミングと一致する。
  • Y-IJの発生時期との関係
    Y-IJの発生(約4万8000年前)は、ネアンデルタールとの交配(5万~6万年前)の後。だが、Y-IJの祖先(Y-F系統)が交配に関与したなら、Y-IJの子孫(Y-I、Y-J)にネアンデルタール由来の遺伝子が受け継がれる可能性はある。

2.2 Y-IとY-Jにネアンデルタール由来の遺伝子が多いか?

  • ネアンデルタール由来DNAの分布
    ネアンデルタール由来のDNAは常染色体(核DNA)に主に含まれる。Y染色体やmtDNAにはネアンデルタール由来の痕跡が見られない(Y染色体は父系、mtDNAは母系で遺伝するため、ネアンデルタールとの交配が母系や父系を直接置き換えた証拠がない)。
    現代の集団で見ると:
    • ヨーロッパ人(Y-I、Y-Rが主流):ネアンデルタール由来DNAが1.5~2.5%。
    • 中東(Y-Jが主流):1~2%。
    • 東アジア(Y-Oが主流):1.5~2%(シベリアでネアンデルタールと追加交配した可能性あり)。
      → Y-IやY-Jを持つ集団(ヨーロッパ、中東)が特にネアンデルタール由来DNAを多く持つという明確な証拠はない。むしろ、東アジア人(Y-O)の方がわずかに多い傾向すらある。
  • Y-IJ特有の交配の証拠
    Y-IJ系統(Y-I、Y-J)がネアンデルタールと特異的に交配したという証拠は、現状のデータでは見つかっていない。ネアンデルタール由来の遺伝子は、すべての非アフリカ集団(Y-IJ、Y-K系統含む)にほぼ均等に分布している。

2.3 ネアンデルタール交配と環境適応

  • ネアンデルタール由来の適応形質
    ネアンデルタール由来の遺伝子には、寒冷適応(UCP1変異)、免疫強化(HLA遺伝子)、紫外線耐性(MC1R変異で明るい肌)など、ユーラシア環境に有利な形質が含まれる。
    Y-I(北欧)とY-J(中東)はそれぞれ寒冷環境と紫外線量の高い環境に適応してるから、ネアンデルタール由来の遺伝子が間接的に寄与した可能性はある。
    ただし、これはY-IJに特異的な現象ではなく、Y-K系統(Y-R、Y-O)にも当てはまる。

3. mtDNA-R、mtDNA-Mとの合流タイミングとの関係

君の仮説では、Y-IJがネアンデルタールと交配した後、mtDNA-RやmtDNA-M(多産体質と仮定)と合流したと考えている。このタイミングを遺伝子的に検証する。

3.1 mtDNA-RとmtDNA-Mの発生時期

  • mtDNA-R:約6万年前に西アジアで発生。サブクレード(H、U、J、Tなど)がヨーロッパで、中東で発生したBが東アジアやアメリカ大陸に広がった。
  • mtDNA-M:約6万年前に南アジアで発生。サブクレード(M7、D4など)が東アジアで優勢。
  • タイミング
    mtDNA-RとMはネアンデルタールとの交配(5万~6万年前)とほぼ同時期に発生。Y-IJ(約4万8000年前)の祖先(Y-F系統)がネアンデルタールと交配した後、Y-IJの子孫(Y-I、Y-J)がmtDNA-RやMを持つ母系と交配した可能性は、時間的に整合する。

3.2 Y-IJとmtDNA-R、Mの交配

  • Y-I(ヨーロッパ)とmtDNA-R
    Y-Iはヨーロッパで発生し、mtDNA-R(特にH、U)が90%以上を占める現代ヨーロッパ人と交配した。だが、Y-Iの発生(約2万5000年前)はネアンデルタール交配よりかなり後なので、Y-I特有のネアンデルタール交配は考えにくい。
  • Y-J(中東)とmtDNA-R、M
    Y-Jは中東で発生し、mtDNA-R(J、U)、mtDNA-M(M8など)と交配した可能性。だが、中東でのネアンデルタール由来DNA(1~2%)は他の地域(ヨーロッパ、東アジア)と大差ない。
  • 多産体質との関連
    mtDNA-RやMが多産体質だったという証拠はまだない。エネルギー代謝(ミトコンドリア機能)が効率的で妊娠維持に有利だった可能性はあるけど、遺伝子的に証明するにはFSHR遺伝子(卵巣機能)などのデータを検証する必要がある。

4. 遺伝子的な結論

  • Y-IとY-Jの系統的近さ
    君の指摘通り、Y-IとY-JはY-IJ(約4万8000年前)を共通祖先に持ち、系統的に近い。Y-RやY-O(Y-K系統)とは早い時期(約4万8000年前)に分かれた。
  • Y-IJとネアンデルタール交配
    Y-IJの祖先(Y-F系統)がネアンデルタールと交配(5万~6万年前)した可能性は時間的に整合する。だが、Y-IJ特有の交配を示す証拠はなく、ネアンデルタール由来DNA(1~2%)はすべての非アフリカ集団にほぼ均等に分布している。
    Y-I(北欧)やY-J(中東)が寒冷適応や紫外線耐性を持つのは、ネアンデルタール由来の遺伝子(UCP1、MC1R)が間接的に寄与した可能性があるが、Y-IJに特異的な現象ではない。
  • mtDNA-R、Mとの合流
    Y-IJがネアンデルタールと交配した後、Y-IとY-JがmtDNA-R(ヨーロッパ、中東)やM(中東、東アジア)と交配したのは時間的に可能。だが、mtDNA-RやMが多産体質だったという遺伝子的な証拠はまだない。

君の仮説は時間的な整合性はあるけど、Y-IJがネアンデルタールと特異的に交配した証拠は見つかっていない。ネアンデルタール由来の遺伝子はすべての非アフリカ集団に広く分布しており、Y-IやY-Jに特有の影響を示すデータが必要だ。


次どうする?

Y-IJ(Y-I、Y-J)に濃縮されたネアンデルタール由来の遺伝子(たとえばHLAやMC1R)を掘る?それとも、mtDNA-RやMの多産性(エネルギー代謝やFSHR遺伝子)をさらに検証してみる?😎

grok

なるほど、君の仮説がさらに深まってきているね!Y-IJ(Y-I、Y-J)だけでなく、Y-O2(O-M122)もネアンデルタールと直接交配していた可能性があると考えているんだ。そして、ネアンデルタールの白い肌が「尋常性白斑」(自己免疫疾患)によるものだと仮定し、それがY-IJやY-O2を持つ集団(欧米人や東アジア人)の肌の色に影響したというアイデアだね。移動や文化的な話は避けて、遺伝子データと肌の色のメカニズムに絞ってこの仮説を検証してみるよ。


1. ネアンデルタール由来DNAの分布(再確認)

君が指摘した通り、東アジア人(Y-Oが主流)の方がヨーロッパ人(Y-I、Y-J、Y-Rが主流)や中東(Y-J)よりネアンデルタール由来DNAがわずかに多い傾向がある。データを整理してみると:

  • ネアンデルタール由来DNAの割合
    • 東アジア人(Y-Oが主流):1.5~2.5%(平均2.1%程度)。
    • ヨーロッパ人(Y-I、Y-Rが主流):1.5~2.5%(平均1.8%程度)。
    • 中東(Y-Jが主流):1~2%(平均1.6%程度)。
    • アフリカ人(サハラ以南):ほぼゼロ(0~0.5%)。
  • 東アジア人のネアンデルタール由来DNAが多い理由
    東アジア人は、ネアンデルタールと一度交配した後(5万~6万年前、中東で)、シベリアでデニソワ人(ネアンデルタールの姉妹種)と追加交配した可能性がある。デニソワ人由来DNA(東アジア人で0.1~0.5%)がネアンデルタール由来DNAと重複するため、全体の割合がわずかに高くなっている。

1.1 Y-O2(O-M122)とネアンデルタール交配

  • Y-O2の分布
    Y-O2(O-M122)は東アジアで高頻度(中国で50~70%、日本や韓国で20~30%)。発生は約3万年前で、稲作農耕の拡大と結びつき、人口増加で優勢に。
  • ネアンデルタール交配のタイミングとの関係
    ネアンデルタールとの交配は5万~6万年前、Y-O2の発生は約3万年前。つまり、Y-O2の祖先(Y-K系統)がネアンデルタールと交配した後、Y-O2が分岐した形になる。
    東アジア人のネアンデルタール由来DNA(2.1%程度)がヨーロッパ人(1.8%)よりわずかに多いのは、シベリアでの追加交配(デニソワ人との交配)が影響してる可能性が高い。
  • Y-O2特有の交配の証拠
    Y-O2がネアンデルタールと「直接交配」した証拠はない。ネアンデルタール由来DNAは常染色体に広く分布しており、Y-O2特有の交配を示すデータは現状見つかっていない。

1.2 Y-IJ(Y-I、Y-J)とネアンデルタール交配(再確認)

  • 前回の結論通り、Y-IJの祖先(Y-F系統)がネアンデルタールと交配した可能性は時間的に整合するが、Y-IJ特有の交配を示す証拠はない。
  • ヨーロッパ人(Y-I、Y-R)と中東(Y-J)のネアンデルタール由来DNA(1.6~1.8%)は、東アジア人(2.1%)よりわずかに少ない。

1.3 共通祖先説との区別

君が引用した私の以前の説明:

遺伝子的に「共通の配列がある」ってことは、必ずしも「直接交配した」って証拠にはならない。
共通祖先説:ヒト、ネアンデルタール、デニソワ人がもっと古い共通祖先(例えばホモ・エレクトス)から分岐したけど、その祖先の遺伝子がそれぞれに残ってて、結果的に「似た配列」があるだけ。

  • 遺伝子データからの区別
    ネアンデルタール由来DNAは、現代人(非アフリカ集団)とネアンデルタールのゲノムを比較することで特定されている。たとえば、アルタイ・ネアンデルタール(シベリアで発見)のゲノムと現代人のゲノムを比較すると、非アフリカ集団に特異的な変異(約1~2%)が見つかる。
    これが「共通祖先(ホモ・エレクトスなど)」由来なら、アフリカ人も同様の割合でネアンデルタールと共通の配列を持つはずだが、アフリカ人にはほぼ見られない(0~0.5%)。
    → 君の仮説(Y-IJ、Y-O2がネアンデルタールと直接交配)は、遺伝子的に「共通祖先説」より「直接交配説」を支持する形で整合する。

2. ネアンデルタールの肌の色と「尋常性白斑」仮説

君の仮説では、ネアンデルタールの白い肌が自己免疫疾患「尋常性白斑」(色素脱失症)によるものだと考えている。そして、それがY-IJ(欧米人)やY-O2(東アジア人)の白い肌に影響した可能性を指摘している。

2.1 ネアンデルタールの肌の色

  • 遺伝子データからの推定
    ネアンデルタールのゲノム解析(たとえばアルタイやヴィンディヤのネアンデルタール)から、MC1R遺伝子(メラニン生成を制御)に変異が見つかっている。この変異はメラニン生成を抑え、肌を明るくする(赤毛や白い肌)。
    ネアンデルタールはシベリアやヨーロッパ(緯度が高い、低紫外線環境)に住んでいたため、紫外線吸収が少なくてもビタミンDを合成できる明るい肌が選択されたと考えられる。
  • 結論
    ネアンデルタールの肌が白かったのは、遺伝子的にMC1R変異による適応の結果。君の指摘通り、ネアンデルタールは「白い肌」だった可能性が高い。

2.2 尋常性白斑(Vitiligo)仮説

君は、ネアンデルタールの白い肌が「尋常性白斑」によるものだと仮定している。尋常性白斑は自己免疫疾患で、メラノサイト(色素細胞)が破壊され、肌が白く脱色する病気だ(マイケル・ジャクソンが患っていたことで有名)。

  • 尋常性白斑の遺伝子背景
    尋常性白斑は多因子疾患で、HLA遺伝子(免疫系)、TYR遺伝子(メラニン合成)、PTPN22遺伝子(自己免疫)などが関連する。ネアンデルタール由来のHLA変異が現代人に受け継がれている(特にヨーロッパ人で高頻度)ため、ネアンデルタールが自己免疫疾患(尋常性白斑など)に関与した可能性はゼロじゃない。
  • ネアンデルタールに尋常性白斑があったか?
    ネアンデルタールのゲノムには、尋常性白斑に関連する変異(たとえばHLA-DRB1やTYRの特定変異)は見つかっていない。ネアンデルタールの白い肌は、MC1R変異による適応的な進化(低紫外線環境への適応)が主因と考えられる。
    尋常性白斑がネアンデルタールで集団的に発生したという証拠はなく、むしろ病気による色素脱失なら生存に不利(紫外線防御力の低下)になる可能性が高い。
  • 異種交配(高所+低地原人)と白斑の関連
    君の以前の仮説(ネアンデルタールが高所原人+低地原人の交配種)に基づくと、異種交配が自己免疫疾患を引き起こした可能性は考えられる。異なる遺伝子プールが混ざると、HLA遺伝子の不均衡が自己免疫疾患(白斑など)を誘発することがある。
    ただし、ネアンデルタールのゲノムには高地原人(低酸素耐性、EPAS1変異など)や低地原人(紫外線耐性、MC1Rでメラニン多め)の明確な痕跡がない。ネアンデルタールは単一の種(ホモ・エレクトスの子孫)と考えられる。

2.3 現代人の肌の色との関連

  • Y-IJ(Y-I、Y-J)と白い肌
    ヨーロッパ人(Y-I、Y-R)や中東(Y-J)はネアンデルタール由来のMC1R変異(明るい肌)を持つ。ヨーロッパ人で特に白い肌(「真っ白い白人」)が多いのは、SLC24A5やSLC45A2(メラニン抑制)の変異が選択された結果。これも低紫外線環境への適応。
    ネアンデルタールのMC1R変異がY-IJ系統に濃縮された証拠はないが、間接的に寄与した可能性はある。
  • Y-O2(東アジア)と白い肌
    東アジア人(Y-O2)はネアンデルタール由来のMC1R変異に加え、OCA2遺伝子(メラニン抑制)の変異が濃縮されている。日本人や韓国人は「黄色人種」と分類されるが、肌は比較的白く(メラニン量が中程度)、これは緯度が高い東アジア(紫外線量が中程度)での適応と考えられる。
    君の言う「白人と変わらない肌の色」や「東アジアにも真っ白い人がいる」は、OCA2やSLC45A2の変異が個人差として現れた結果。ネアンデルタール由来のMC1R変異がY-O2系統に影響した可能性はあるが、主要因は東アジア独自の進化(OCA2変異)。

3. 遺伝子的な結論

  • Y-IJとY-O2のネアンデルタール交配
    Y-IJ(Y-I、Y-J)とY-O2(O-M122)の祖先(Y-FやY-K系統)がネアンデルタールと交配した可能性は時間的に整合する。東アジア人(Y-O2)がネアンデルタール由来DNAをわずかに多く持つ(2.1%)のは、シベリアでの追加交配(デニソワ人との交配)が影響してる可能性が高い。
    だが、Y-IJやY-O2が「ネアンデルタールと直接交配」した特異的な証拠はまだない。ネアンデルタール由来DNAは非アフリカ集団に広く分布している。
  • ネアンデルタールの白い肌
    ネアンデルタールの白い肌はMC1R変異による適応(低紫外線環境)の結果と考えられる。君の「尋常性白斑」仮説は遺伝子的に支持されにくい(白斑関連の変異が見つかっていない)が、異種交配(高所+低地原人)が自己免疫疾患を引き起こした可能性は完全には否定できない。
  • 現代人の肌の色との関連
    Y-IJ(欧米人)やY-O2(東アジア人)の白い肌は、ネアンデルタール由来のMC1R変異が間接的に寄与した可能性がある。ただし、主要因は各地域での適応(ヨーロッパ:SLC24A5、東アジア:OCA2)。東アジア人の「白い肌」や「真っ白い人」は、OCA2変異による個人差が大きい。

君の仮説は、ネアンデルタールとY-IJ、Y-O2の交配や肌の色のメカニズムとして面白い視点を提供している。だが、現状の遺伝子データでは、ネアンデルタールの白い肌が尋常性白斑によるものという証拠はなく、MC1R変異による適応が主流の解釈だ。


次どうする?

ネアンデルタールのMC1R変異がY-IJやY-O2にどう受け継がれたか掘る?それとも、尋常性白斑に関連するHLA遺伝子のネアンデルタール由来変異を詳しく見てみる?😎

grok

なるほど、君の視点がさらに深まってきたね。「白い肌」の進化について、従来の「低紫外線環境への適応(進化)」という解釈に疑問を投げかけ、むしろ「交配の結果、紫外線に耐えられない肌(メラニン機能の低下)になったから北に移住した」という仮説を立てているんだね。寒冷適応(たとえばUCP1変異)も同時に獲得したという考えだ。移動の話は避けて、遺伝子データと肌の色のメカニズムに絞ってこの仮説を検証してみるよ。


1. 「白い肌」の進化:従来の解釈と君の疑問

1.1 従来の解釈(低紫外線環境への適応)

  • 遺伝子的な背景
    白い肌は、MC1R、SLC24A5、SLC45A2、OCA2などの遺伝子変異によってメラニン生成が抑制されることで生じる。
    • ヨーロッパ人:SLC24A5(A111T変異)が90~95%で濃縮。SLC45A2(L374F変異)も高頻度。
    • 東アジア人:OCA2(H615R変異)が70~80%で、メラニン量が中程度(やや明るい肌)。
  • 進化的説明
    高緯度(ヨーロッパ、東アジア北部)では紫外線量が少なく、メラニンによる紫外線防御の必要性が低下。代わりに、ビタミンD合成(紫外線で生成)を効率化するため、肌が明るくなる方向に選択された。
    ネアンデルタールのMC1R変異(メラニン抑制、明るい肌)も、ヨーロッパ人や東アジア人に受け継がれ、間接的に寄与した。
  • 君の疑問
    「紫外線が強い環境では日焼けするのが有利なのに、メラニンが機能しない肌は進化と言えない」「寒くて食料確保に不利な高緯度にわざわざ適応するのは奇妙」と指摘してる。確かに、従来の解釈では「なぜ高緯度に住む前提なのか」が説明不足かもしれない。

1.2 君の仮説:交配によるメラニン機能低下と北への移住

  • 仮説の概要
    ネアンデルタール(または他の原人)との交配でメラニン生成が低下(紫外線に耐えられない肌)になり、紫外線量の強い低緯度では不利になった。そのため、北(低紫外線環境)に移住せざるを得なかった。
    同時に、寒冷適応(たとえばUCP1変異によるエネルギー代謝の効率化)を獲得した。
  • 遺伝子的な検証
    この仮説を検証するには、交配がメラニン機能低下を引き起こした証拠と、それが寒冷適応とどう関連するかを見る必要がある。

2. 交配によるメラニン機能低下の可能性

君の仮説では、ネアンデルタール(または他の原人)との交配がメラニン生成を低下させ、「紫外線に耐えられない肌」を作り出したと考えている。

2.1 ネアンデルタールとの交配とMC1R変異

  • ネアンデルタールのMC1R
    ネアンデルタールのゲノム(アルタイやヴィンディヤの標本)から、MC1R遺伝子にメラニン生成を抑制する変異(R307Gなど)が確認されている。この変異は明るい肌や赤毛を引き起こし、低紫外線環境(シベリア、ヨーロッパ)に適応した形跡。
    現代人(非アフリカ集団)にもこのMC1R変異が受け継がれており、特にヨーロッパ人で高頻度(5~10%)。東アジア人でも微量(1~2%)見られる。
  • 交配によるメラニン低下の証拠
    ネアンデルタールとの交配(5万~6万年前、中東)でMC1R変異が現代人に導入されたのは事実。だが、この変異は「紫外線に耐えられない」ほど極端なメラニン低下を引き起こすものではない。
    たとえば、ヨーロッパ人の白い肌(SLC24A5、SLC45A2変異)は、ネアンデルタール交配後の独自の進化(約1万~2万年前)が主因。ネアンデルタール由来のMC1R変異は補助的な役割に留まる。

2.2 紫外線に耐えられない肌=進化ではない?

  • 君の指摘
    紫外線が強い環境では、メラニンが機能して日焼けする(紫外線防御)のが有利。メラニンが機能しない肌(まったく日焼けできない)は、紫外線ダメージを受けやすく、皮膚がんやビタミンD過剰のリスクが高まるため「進化的に不利」と考えられる。
  • 遺伝子的な反論
    ヨーロッパ人や東アジア人の「白い肌」は、完全にメラニンが機能しないわけではない。
    • ヨーロッパ人:メラニン量は少ないが、日焼け能力(UVBに応答してメラニン生成)は残っている。SLC24A5変異はメラニン量を減らすが、ゼロにはしない。
    • 東アジア人:OCA2変異でメラニン量が中程度(やや明るい肌)。日焼け能力もあり、紫外線ダメージへの耐性は中程度。
      → 君の言う「紫外線に耐えられない肌(メラニン機能ゼロ)」は、尋常性白斑(色素脱失症)のような病的な状態に近い。現代人の白い肌は、適応的な範囲(低紫外線環境でビタミンD合成を最適化)にあるため、進化的に不利とは言えない。
  • ネアンデルタールとの交配の影響
    ネアンデルタール由来のMC1R変異が導入された直後(5万年前)、一部の集団でメラニン生成が低下し、紫外線ダメージが増えた可能性はある。だが、その後の進化(SLC24A5、OCA2変異)で、メラニン量が環境に適したレベルに調整されたと考えられる。

2.3 交配による「紫外線に耐えられない肌」の可能性

  • 異種交配と遺伝的不均衡:
    ネアンデルタールと現代人の交配で、遺伝子プールが混ざり、MC1RやTYR(メラニン合成関連)の不均衡が生じた可能性はゼロじゃない。たとえば、ネアンデルタールのMC1R変異(メラニン抑制)と現代人のTYR変異が組み合わさると、メラニン生成が極端に低下する集団が生まれたかもしれない。
    ただし、そうした集団が低緯度(紫外線量が多い地域)で生き残るのは難しく、自然選択で淘汰された可能性が高い。君の仮説通り、北(低紫外線環境)に移住することで生存が可能になったシナリオは、遺伝子的に完全に否定はできない。

3. 寒冷適応との関連

君の仮説では、紫外線に耐えられない肌になった集団が北に移住し、同時に寒冷適応を獲得したと考えている。

3.1 ネアンデルタール由来の寒冷適応

  • UCP1変異
    ネアンデルタール由来の遺伝子には、UCP1(熱産生を高める、エネルギー代謝効率化)の変異が含まれている。これは寒冷環境で有利で、ヨーロッパ人(特に北欧)と東アジア人に高頻度(30~50%)。
    ネアンデルタールとの交配でUCP1変異が導入され、寒冷適応が進んだのは遺伝子的に支持される。
  • 他の寒冷適応遺伝子
    CPT1A(脂肪酸代謝)やACTN3(筋肉効率)の変異も、ネアンデルタール由来で寒冷環境に有利。これらがヨーロッパ人(Y-I、Y-R)や東アジア人(Y-O)に受け継がれている。

3.2 君の仮説との整合性

  • 交配でメラニン生成が低下(MC1R変異)し、紫外線に耐えられない肌になった集団が、低紫外線環境(高緯度)を求めて北に移動。
  • 同時に、ネアンデルタール由来のUCP1やCPT1A変異を獲得し、寒冷環境に適応した。
  • 遺伝子的な支持
    このシナリオは時間的に整合する。ネアンデルタール交配(5万~6万年前)でMC1RやUCP1変異が導入され、集団が北に広がる中でこれらの変異が選択された可能性はある。
    ただし、「紫外線に耐えられない肌」が主因で北に移動したという証拠は間接的。従来の解釈(ビタミンD合成のための白い肌が北で選択された)の方が、遺伝子データ(SLC24A5の濃縮など)と整合する。

4. 従来の解釈(低紫外線環境への適応)の奇妙さ

君が指摘する「寒くて食料確保に不利な高緯度にわざわざ適応するのは奇妙」という点について、遺伝子的に再考してみる。

4.1 従来の解釈の問題点

  • 高緯度への移動の前提
    従来の解釈では、現代人がアフリカを出て高緯度(ヨーロッパ、東アジア北部)に広がった後、低紫外線環境に適応して白い肌が選択されたと仮定している。
    だが、君の言う通り、寒冷環境(冬が厳しく、食料確保が難しい)は生存に不利。なぜわざわざ高緯度に移動したのか、説明が不足している。
  • 遺伝子的な反論
    高緯度への移動は、食料資源(マンモスなどの大型動物)や競争の少なさが背景にあると考えられる。寒冷適応(UCP1、CPT1A)がネアンデルタールから受け継がれたことで、生存が可能になった。
    白い肌(SLC24A5、OCA2変異)は、その後の適応(ビタミンD合成の最適化)として進化した。

4.2 君の仮説の方が自然?

  • 交配→紫外線耐性低下→北への移動
    君の仮説では、ネアンデルタールとの交配で紫外線に耐えられない肌(メラニン低下)になり、低緯度では不利だったため、北(低紫外線環境)に移動したと考える。
    このシナリオは、「高緯度に適応した」という従来の受動的な説明より、能動的な理由(紫外線ダメージを避けるため)を提示している点で面白い。
  • 遺伝子的な支持度
    交配直後にメラニン生成が極端に低下した集団が生まれた可能性は、MC1RやTYRの不均衡で説明できるかもしれない。だが、その後の進化(SLC24A5、OCA2変異)が白い肌を適応的な範囲に調整したと考えられる。
    寒冷適応(UCP1変異)と白い肌が同時に獲得された点は、君の仮説と従来の解釈の両方で説明可能。

5. 遺伝子的な結論

  • 白い肌の進化
    従来の解釈(低紫外線環境への適応)は、SLC24A5やOCA2変異がビタミンD合成のために選択されたという遺伝子データで支持される。だが、君の指摘通り、「高緯度に適応した」という前提は説明不足。
  • 君の仮説(交配によるメラニン低下)
    ネアンデルタールとの交配でMC1R変異が導入され、メラニン生成が低下(紫外線に耐えられない肌)になった可能性は遺伝子的に否定できない。その結果、北(低紫外線環境)に移住し、寒冷適応(UCP1、CPT1A変異)を獲得したシナリオは、時間的に整合する。
    ただし、「紫外線に耐えられない肌」が主因で北に移動したという直接的な証拠はまだない。メラニン機能がゼロ(尋常性白斑のような状態)ではなく、適応的な範囲(日焼け能力あり)に調整されたと考えられる。
  • 進化的な有利さ
    君の言う「メラニンが機能しない肌は進化的に不利」は、極端な場合(メラニンゼロ)に当てはまるが、現代人の白い肌は適応的な範囲にあるため、進化的には有利(ビタミンD合成の最適化)。交配直後に不利な状態が生じた可能性はあるが、その後の選択で調整された。

君の仮説は、従来の「適応」モデルに代わる能動的な説明(紫外線ダメージ回避のための移動)を提示していて面白い。遺伝子データでは従来の解釈が優勢だが、君のシナリオも部分的には支持可能だ。


次どうする?

交配直後のメラニン低下(MC1R、TYRの不均衡)をさらに掘る?それとも、寒冷適応(UCP1、CPT1A)が白い肌とどう関連したか詳しく見る?😎